レビュー/再録
2012年12月9日(日) に開催された「PROPS プロトーク [第2回] 開発・オペレーション」の討議について、ほぼ全文書き起こしを公開します! 今回は質疑応答編です。Speaker:川原秀仁、中尾俊幸、net_heads、藤村龍至 Moderator:納見健悟、平塚 桂
質疑応答
1.主にまちづくりを手がける組織設計事務所に勤務しています。本日の話では人口減少や縮小社会に対してどう海外に展開できるかということが話題にあがりましたが、逆に残される側についてうかがいたいと思います。人口減少時代において、地方都市の開発というものでは、何ができるのでしょうか。
川原――地方のまちづくりにおいては、何かに特化するのが重要だと思います。淘汰は避けられないと思いますが、地方の得意技や十八番をどれだけ付加価値に変えられるかということに尽きるのではないかと思います。私の出身は、佐賀県の唐津市というところですが、食や歴史に終わらないさまざまな優良コンテンツがあるにも関わらず、うまく総合的にブランディングできているとは思えません。そういったものを統合し、産業として形づくることができれば生き残る都市になるのではないかと思います。
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2014年4月14日
レビュー/再録
2012年12月9日(日) に開催された「PROPS プロトーク [第2回] 開発・オペレーション」の討議について、ほぼ全文書き起こしを公開します! 討議はPROPSの用意した質問に基づいて進めたものです。Speaker:川原秀仁、中尾俊幸、net_heads、藤村龍至 Moderator:納見健悟、平塚 桂
Q3.開発の未来に対する戦略とは
施設を介した事業モデルの創造
川原――モノ、事業、社会、経済など、すべてが変わりつづけています。たとえば日本にプロジェクト・ファイナンスがやってくるなんて、誰も想像もできませんでした。プロジェクト・ファイナンスとは、ファンドが典型です。わかりやすい例でいうとJ−REITなど、不動産投資ファンドがあります。それまではコーポレートファイナンスの世界で、官主導で色々なものをコントロールできました。たとえば積極的財政支出やゼロ金利政策、量的緩和などの政策を取れたんです。で、いざそれをやってみると今度はプロジェクト・ファイナンスが潤いました。その流れはリーマンショックで傾いてしまったのですが、施設を資産、経済体、社会構造体で捉えるという考え方はポジティブな文脈で残りました。そこで企業も変わり、ものづくり単体ではなく、営みづくり、社会貢献、国家貢献という文脈で事業を考えるようになりました。そんな変わり続ける事業の一歩先を想像し、事業モデルをつくり込んで、実際の建設プロジェクトと合致させることができれば新たな展開ができるのではないかと思っています。
net_heads――これまでの川原さんのお話に絡め、ベトナムにおける日本の鉄道会社の進出のことを紹介します。ベトナムは社会主義国で、インフラは旧ソ連の五カ年計画によってかなり整備されています。市場環境が整っており、無理矢理ハコモノをつくっても成立してしまう。(※)東急電鉄の進出の理由はそこにあるのではないかと思っています。それに対して(※)京阪電鉄は北のハノイで商業施設を計画しています。ハノイは中国の影響を受け、歴史的に形成された碁盤目状の魅力的な市街地を持っています。おそらく京阪が考えているのは、鉄道と周辺施設をセットで持っていくことです。川原さんがお話をされた事業と共に施設を持って行くという方向に近いのは京阪の方法で、私もこちらがよいと感じています。
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2014年4月14日
レビュー/再録
2012年12月9日(日) に開催された「PROPS プロトーク [第2回] 開発・オペレーション」の討議について、ほぼ全文書き起こしを公開します! 討議はPROPSの用意した質問に基づいて進めたものです。Speaker:川原秀仁、中尾俊幸、net_heads、藤村龍至 Moderator:納見健悟、平塚 桂
Q2.建築・不動産ビジネスにおける日本の十八番とは
「まちづくり」ハードからソフト
までを包含する概念
中尾――何が海外に通用するのか実際のところはわからなくて、わからないなりに回答しますが「まちづくり」ではないかと思います。「まちづくり」って、よくわからない言葉ですよね。よくわからないんですけどハードに携わる人からソフトに関わる人まで結構幅広い方に使われる言葉です。まちづくりしましょうよと。そうするとなんとなくまちができる気分になってくるというのが「まちづくり」という言葉のよい部分かなと。もちろんネガティブな面もあります。ただ行政の都市計画や施設づくりを、市民の目線へとつなげることができる言葉ではあるなと思うんです。もちろん普段仕事で接していると、ポジティブな反応を示す方もいれば、お上の仕事は関係ないよという方もいらっしゃいます。だから藤村さんが先ほどのプレゼンで示唆されたような新しい事例が生まれれば、地権者や周辺住民に対して話がしやすくなるのではないかと期待が持てますね。
藤村――すみません、日本の十八番はまちづくりということですが、これはどちらかというと中尾さんがいらっしゃるアール・アイ・エーさんの十八番という感じがします。アール・アイ・エーという組織は、かつて建築家の山口文象が住宅を大量に設計し、その中で培った企画設計という強みを生かし、70年代から再開発を手がけるようになったという経緯を持っています。しかし2000年以降、開発のスピードが落ちた関係から、他の大手企業が自分たちの十八番であった再開発という分野に入ってきたというような話を、先日アール・アイ・エーの近藤会長にインタビューした際にうかがいました。まちづくりはアール・アイ・エーの十八番であるということは言えるかと思いますが、日本の十八番といっていいのでしょうか。元々日本のまちづくりというのは7〜80年代に学んだアメリカのアーバニズムが元になっているかと思いますが、それを日本の得意といってしまっていいのでしょうか。
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2014年4月14日
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2012年12月9日(日) に開催された「PROPS プロトーク [第2回] 開発・オペレーション」の討議について、ほぼ全文書き起こしを公開します! 討議はPROPSの用意した質問に基づいて進めたものです。Speaker:川原秀仁、中尾俊幸、net_heads、藤村龍至 Moderator:納見健悟、平塚 桂
Q1.縮小の時代において、なぜ開発に向き合っているのか
今後の日本を考えるため
藤村――私は76年生まれで、ちょうど80年代の開発が最も華やかな頃に育ちました。大学入学の頃に阪神・淡路大震災やオウム真理教事件などが起き、やがてまちづくりの時代へと変化しました。今日は隣に(山下設計を前身とする)山下ピー・エム・コンサルタンツの川原さんがいらっしゃいます。私は山下設計が手がけた霞が関ビルディングがつくられた1968年から2011年の東日本大震災までが、日本の開発の時代だったのではないかと思います。それが終わりを迎え、先日の笹子トンネルの崩落事故に象徴される老朽化の時代がやってきた。つくってきたモノをどうすべきか考える時代に入ったのではないでしょうか。今後の日本の縮小社会を考えるためには、これまでの開発の時代というものを総括する必要があるのではないかと考えています。
(成熟した先進国としての)明日の日本のため
川原――縮小の時代と最もフィットする話は統廃合です。(※)CRE戦略あるいはPRE戦略といわれるような、企業や行政が保有する施設をいかに有効活用するかという話は、基本的には統廃合の立場からいわれてます。統廃合するには、今とは異なる施設体系でまとめなくてはいけません。建築の世界だけの話ではありません。すべての産業、企業、業種がみんな、複合的に変わろうとしています。これから生き残ることができるのは、その複合的自由を構築できる人ではないかと考えて、現在のような仕事をしています。
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2014年4月14日
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執筆者:山下健太郎/@ketru (建設マネジメント会社勤務・宿泊施設管理運営)
2013年9月16日。台風18号が浜松から本州に上陸し、内陸へ向けて走り抜けるのを見届けて、大阪市住之江区にあるクリエイティブセンター大阪(名村造船所跡地)ではDESIGNEAST 04が1時間遅れでその日のプログラムを開始した。
PROPSはこのイベントの中で、「PROPSのこれまでとこれから」というテーマを設定し、これまでの1年で開催してきた計5回のトークイベントを通して得られたものを運営スタッフが振り返るイベントを開催した。
「PROPS プロトーク」と銘打って開催してきた5回のトークイベントであるが、その初回は前年開催されたDESIGNEAST 03の中で、スピーカーズ・コーナーという全く同じフォーマットの場所からはじまったのだった。
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2014年2月7日
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執筆者:森村佳浩/@orihihs0y(住宅系不動産会社/PROPS第5回コーディネーター)
「PROPS プロトーク」シリーズ第5回では、「建築・不動産と情報技術」プロジェクトの見える化と合意形成をテーマにします。
建築・不動産プロジェクトの見える化/効率化を図り、合意形成を促すツールとしての情報技術の可能性を探ります。 情報技術の進展により、(1)これまで不可視だったものが認識できるようになり、(2)情報をシェアすることが容易になりました。 (さらに…)
2013年3月24日
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PROPS プロトーク [第4回]「マーケティング・レイティング」レビュー
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住宅市場の不透明性と多様性、そして新たな共同体へ
執筆者:白石 卓央(企画・開発)
●建築VS不動産
近年、「建築」がネット上で話題になっているのを見かけるようになった。建築をめぐる議論には、景観に関するものや、歴史的建築物の保存・解体問題などが挙げられるが、そうした中に、建築家の設計した建築(作品)に対して「不動産の視点」から批判が加えられるのを見かけるようになった。 (さらに…)
2013年3月22日
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PROPS プロトーク [第3回]「働き方・生き方・稼ぎ方」レビュー
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組織や土地・建物と自分との距離を見つめ直し、自由に生きる
執筆者:近藤佑子(東京大学大学院)
建築・不動産を中心とした業界横断型トークイベントPROPSプロトーク。第3回目は「働き方・生き方・稼ぎ方」と題し、第一部は転職経験者のキャリアについて、第二部は組織を飛び出し自分で活躍の場をつくることについて、それぞれ討論し、会場からの質問に答えるという形式で開催された。どうも働き方の話になると、ガツガツしたキャリア論、もしくはシェアやノマドワーキングのようなキラキラした話になってしまいがちであるが、PROPSならではの地に足の着いた充実した回となった。 (さらに…)
2013年2月18日
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執筆者:TEP_(外資系不動産 /PROPS 第4回コーディネーター)
PROPS第4回は「マーケティング・レーティング」をテーマに開催致します。
そもそも、不動産とは、どの様にして市場に出されて、どの様な経緯を経て取引されるのか。そういった基本的な仕組みから、不動産流通市場は今後どの様になっていくのか(いくべきか)という所までお話頂きます。 (さらに…)
2013年2月9日
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PROPS プロトーク [第2回]レビュー
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“建築界のアノニマス”が問いかける開発のこれから
執筆者:橋本祐典(鉄道会社勤務)
●PROPS プロトークの本領
ソーシャルメディアが力を持つ現代ネットワーク社会。そのただ中にあって、世の中を湧かせているハッカー集団「アノニマス」をご存じの方も少なくないと思う。その名が示すとおり、ひとつの大きな権力ではなく、顔の見えないその他大勢が世の中を大きく動かしていく。それこそが現代の有り様と言えるのではないだろうか。 (さらに…)
2013年1月7日
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執筆者:山道雄太(編集者/PROPS 第3回第2部コーディネーター)
PROPSプロトーク第3回「働き方・生き方・稼ぎ方」の開催が間近に迫って来ました。今回はテーマに併せて、2部制としています。本稿では、第2部『キャリアを活かす、仕事の”場”をつくる』の解説とスピーカー紹介を行いたいと思います。 (さらに…)
2013年1月7日
レビュー/再録
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執筆者:山下健太郎(宿泊施設管理・運営 /PROPS 第3回第1部コーディネーター)
PROPSプロトークの第3回は、「働き方・生き方・稼ぎ方」をテーマに開催します。
その第1部では、『転職経験者に聞く「キャリアって、結局なんですか?」』というサブテーマを立てました。 (さらに…)
2013年1月5日
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